森下尚久
カーゴドローン事業部 チーフエンジニア 兼 機体開発グループ マネージャー
電気通信大学大学院機械工学専攻科修士課程卒業。株式会社 本田技術研究所にて、35年間4輪車の研究開発に従事。トランスミッション技術をベースに、ハイブリッドシステムの研究開発を推進。後に完成車のパワーユニット領域責任者および完成車全体の開発責任者となる。2021年8月よりSkyDriveに入社。
カーゴドローン事業部 チーフエンジニア 兼 機体開発グループ マネージャー。
新しい技術や製品をゼロイチで作ること、研究開発が好きな自分にとっては、それができる環境がここにはある
メンバー同士の距離感が近いし、開発現場と実験する場所が近く、好きなだけ飛ばせるということも魅力
− 所属と役割を教えてください。
私は、カーゴドローン事業部 チーフエンジニア 兼 機体開発グループ マネージャーをしています。
カーゴドローンを世の中に出していくプロセスでいうと開発⇨生産⇨営業⇨カスタマサクセスという流れになっています。
開発グループと生産グループの業務違いについてですが、開発はゼロから機体を開発し、機体を販売できる状態まで完成させるまでが開発の業務です。生産グループでは、完成された機体を販売するために量産していきます。
− 開発グループでのミッションと森下さんの役割を教えてください。
グループとしては、カーゴドローンの機体性能を上げ、信頼性を向上させ、より多くのお客さんに使ってもらえる機体とすることがミッションです。その中で私は、カーゴドローン機体全体の開発統括をしています。
具体的には、グループで検討した機体開発の方向性を経営会議に持ち込み、そこで決定した内容を現場の開発設計メンバーに落とし込みます。要は機体の開発方針を決めて組織を動かすことが大きな仕事です。
細かいところでは、実際に機体を開発している現場メンバーが設計やテストで良い悪いの結果を出してくれるので、その結果を評価して他の情報と総合してジャッジメントする、であったり、日々の開発で技術・予算・人の話などの課題に対して相談を受けたりしています。
− どんなところにやりがいを感じますか?
大型ドローンに全く新しい技術を適用しながら、お客様に近い状態で開発ができることは、技術者として非常に楽しいし、気合が入ります。
私は、元々新しい技術・製品を作ること、研究開発の仕事をゼロいちでやるのが好きで、前職でもそんな仕事をしてきたし、そういう環境がここにはあります。
そして、メンバー同士の距離感が近いし、開発現場と実験する場所が近く、好きなだけ飛ばせるということも魅力です。だからこそスピード感持って開発できるのだと思います。
− 開発グループのメンバーに向いている人はどんな人でしょうか?
先ほどお話したように、現場メンバーが判断したことに対して、私が意思決定するということは、メンバーの判断はとても重要だということです。現場がきちんと判断しないとプロジェクト全体に影響がでます。担当している人がそれぞれの工程の責任者であると私は思っています。
責任があるからこそ、メンバーでも判断する権限は広く、自分で考えて動くことができます。これは、ベンチャー、小さい研究開発の特権だと思います。そういったモチベーションがある人にとってはとてもやりがいがある良い環境だと思います。あとは、航空業界は分業が基本的な考えのようですが、領域の壁は低くしたいんですよね。広い業務範囲を経験したいというオープンな人は向いていると思います。
今日のホンダの基幹ハイブリッドシステムi-MMDなどの研究開発をしてきた35年間
−どんな子供時代を過ごしましたか?
静岡県伊東温泉出身で、家には小さなミカン畑があり、家に温泉があるくらい緑豊かな地域です。
乗り物、スピードが出るもの、例えばスキー、ハングライダー、バイクなどちょっとリスクがあるものが好きで、幼稚園の頃から田舎の山道を自転車で疾走していたようなやんちゃな子供でした。山野工事現場で自転車を乗り回して怒られたり、大学の時に親のセリカで山道を爆走中、横転して廃車にしたりと、怖いもの知らずな一面があったと思います。
− 今までのキャリアについて教えてください。
大学院修士課程修了後、面白そうな研究開発ができそうだと、1986年、ホンダ技術研究所に入社しました。車でもバイクでも未来の技術に携わる仕事がしてみたかったんです。
希望は研究開発部門でしたが、新卒社員は全員まずは鈴鹿の工場で業務をします。私は、塗装に溶け込んだゴミを取る仕事でした。研究開発がやりたくて入ったのに、と思いながら作業していたことを思い出します笑
その後3ヶ月は全員営業に行きます。それも飛び込み営業です。3ヶ月間で1台を売るのがミッションでしたが、一般のお宅に一軒一軒訪問するも、結局1台も売れませんでした。
営業の才能はなかったようです。それが逆によかったのか(笑)、1987年、配属は、希望通り先進技術の研究部門となり設計者としてのキャリアをスタートさせました。
当時のミッションは、次の世代の4輪車を作ること。私は、エンジン/トランスミッション研究チームに入りましたが、結論、研究していたものは技術的に成立しないと自分たちで理解し、やめるという判断をしました。製品として形にはならなかったということです。
その後、チームの異動はしながらも、35年程、ずっと研究開発をしてきました。
− 研究開発は、製品化されるまでが大変そうですね。
そうですね。製品化されない方が多いです。うまくいけば普通の研究開発は5年で世の中に出ます。5年もかかるんです。
SkyDriveのカーゴドローンは1号機を納品できたのが、開発からちょうど3年くらいなのですごいですね。早い方だと思います。
−研究開発は具体的にどのように進めるのですか?
前職では、まずは少人数で初めて、市場のニーズから、未来に必要なものを見出して、仕様を削ぎ落としてブラッシュアップしていきます。シーズ発で商品を開発していくことをしてきました。
− 1番の成果を教えてください。
1990年代から20年間やっていたハイブリッドシステム開発です。これが、今日のホンダの基幹ハイブリッドシステムi-MMDになってるんです。
− 今の車に使われているんですね。それは誇らしいですね。
そうですね。本当に嬉しく思っています。ただ、大変な道のりでしたよ。
EV研究をしていたモーターの部署の人と研究を始めて、システムを3つ作ったうち、1つ目はダメで。2つ目と3つ目は、量産までいきました。
最初は、まずハイブリッドはなぜ燃費が出るのかの勉強からスタートしました。ただ、これならベストの燃費が出る!と意気込んで作った最初のシステムは、多機能過ぎて大きく・高くなってしまい、量産開発チームに採用されませんでした。技術者あるあるですね笑
2つ目は、量産決定した後に、生産開始2か月前に実車耐久テストで部品が破損し、それから3か月原因究明に費やす地獄の日々が続き、量産が遅れてしまったという苦い経験をしました。
色々試しても原因がわからない状態が続き、管理職だったので投げ出すこともできず、体重は5kg以上落ちてげっそりしていたと思います。
結果的には現場の方に根本原因を発見していただき、遅れて量産することができたんです。本当に現場命だと思いました。
そして3つ目に、とうとう、今日のホンダの基幹ハイブリッドシステムi-MMDとなるものが開発できました。
今まで20年間ハイブリッド研究を続けてきたわけですが、ポシャった経験やさまざまなトラブルなど含めて得られた結果だと思っているので、長い期間、めげず、諦めずに、いろいろやってみるものだなぁと思っています。
その後パワーユニットの開発責任者、車両全体の開発責任者では事業の成立性(利益)重視の部門で、開発といいつつ、お金のやりくりを学んだり、 グローバル機種の開発では、全体の責任者として海外20ヵ国以上を飛んだりと、やり切った感はありました。
− 今のカーゴドローンに活かされている技術はありますか?
バッテリー・インバーター・モーターの各々の技術要素はドローンと一緒なんです。その辺りの技術をSkyDriveに活かせるのではと思っていました。プロペラ動かすのは、結局バッテリー・インバーター・モーターですからね。
実は、SkyDriveは以前から知っていて、夢があっていいな、という憧れがあった
− 退職しようと思った背景と、SkyDriveに入社を決めたきっかけを教えてください。
年齢を重ねると、大会社では開発の前線に立つのは難しくなって、戦略立案や事業検討などの上位マネージメントの仕事がメインになってくる中、パワーポイントだけ作る仕事には最初から耐性がなく、ストレスが日に日に増していました。
そろそろ次のステージへ移る頃かなという時に、登録していた転職メディアからSkyDrive社のご紹介をいただきました。
色々な企業の提案も受けたり、実際にお会いしたりしていましたが、実はSkyDriveは以前から知っていて、夢があっていいよな、という憧れがあったものの、そこに私が行くといったイメージはあまり湧かずにいました。こういうところもいいな程度だったんですね。
でも、実際に面接を受けて見ると、この会社には、私が最もやりたいと考えている新しい技術に挑戦して開発してお客様に届けるという仕事があるということがわかり、入社を決めました。
小さなベンチャーなのに、本気で空を飛ぶことや人の役に立つことを思って仕事に取り組んでいるところがすごいと感じました。
− 趣味などプライベートについて教えてください。
アクティブに遊ぶのが大好きで、クルマ、スキー、バイク、ちょっと珍しいハンググライディングが趣味です。ストレスをためやすいので、どんなに忙しい時でも、週1は必ず飛んでいました。
前職では栃木の研究所に勤めていまして、自宅は埼玉にあります。
今は単身赴任で、月1.5回くらいは帰宅しています。
SkyDriveに転職が決まった時は、奥さんにはいいんじゃない!?と言われて(笑)。子供2人は30歳過ぎているので、特に何も言われず、寂しいです(笑)
若い技術者達を、エキスパートに引き上げるマネージメントをしたい
− SkyDriveってどんなところですか?
会社の目標はシンプルで、「安全で人の役に立つカーゴドローンをお客様に届けること。」です。これに向けて、みんなの目線は合っているので、スピードと集中力がありますね。
各自の個性が強いのでばらばらになりそうなんですが、不思議と調和が取れていてすごいと思います。
一人一人があまり意識はしていないのかもしれませんが、一人一人が現場の責任者という気持ちがあるのかもしれません。
みんな元気でよく会話して、技術に対しては真摯に取り組む、なかなかない職場ですね。
− 今後についてどんなキャリアを作りたいですか?
私がこの会社に貢献できることは、電動駆動系技術の開発スキームを構築して、SkyDriveが自律的に開発できるようにすること。
そのためには対外的なアライアンスを組めるような活動にも取り組むし、人の採用にも積極的に関与していきたいです。
組織として、開発の全体体制を作って機能させることも仕事ですので、今の開発体制をもっとシステムチックなものに徐々に移行させたいと思っています。
− 一緒に働きたい仲間はどんな人ですか?
エキスパート性があって、広い視野で他領域の技術と自分の技術を結び付けられるような仕事をする人、そして自分で責任を引き受けます!・・といってくれる人と仕事をしたいです。
私は、若い技術者達を、エキスパートに引き上げるマネージメントをしたいと思っています。これを見ている方で、興味がある方がいらっしゃったらぜひお声がけください
候補者の方へ メッセージ
空を舞台にした新しい事業にチャレンジしたい方の入社を待ってます。