S.F.
法務・コンプライアンス責任者 / ニューヨーク州弁護士
中央大学法学部法律学科卒、同大学院法学研究科国際企業関係法専攻修了(法学修士)、米国フォーダム大学ロースクール修了(LL.M./法学修士)
豊田通商に新卒入社、コーポレート企画部門を経て国際法務部門にて主に電力・プラント、金属、化学事業のM&A、建設、JV法務等に従事後、半導体材料メーカーJSRに転職。米国シリコンバレーのJSR Micro, Inc.、JSR North America Holdings, Inc.にてSenior Manager, Legal Counselとして北米法務・コンプライアンス、工場建設、事業再編、訴訟対応等をリード。帰国後、2023年6月にSkyDriveに参画。
「ビジネスを創っていく」企業法務に惹かれて
− 経歴を教えてください。
高校時代は元々は理系だったのですが、ふと参加した講演会で企業法務の魅力に惹かれ、そこから文転。講演で耳にした「ビジネスを創っていける企業法務」を志して、法学部に進学しました。学部卒業後は大学院に進学し、新卒として総合商社に就職。世の中の仕組みを創る事業のダイナミックさやOBOG訪問で聞いた「商社の仕事はNoと言わないのが仕事(=なんとかできる方法を考え、事業を進めていくのが仕事)」という言葉に強く感銘を受けたんです。総合商社でコーポレート企画部門を経て国際法務業務に10余年従事した後、2社目の半導体材料メーカーに転職。新興企業が多く集う、米国シリコンバレーでインハウスロイヤーとして働いていたのですが、そこでそれまで「自分には縁が無い」と感じていたスタートアップへの関心が募りました。SkyDriveと出会ったのは、日本に帰国し、「米国で培った知見を日本で還元したい」と考えて転職活動を行っていたタイミング。「空飛ぶクルマは、なんてワクワクするインフラ・事業だろう」と気持ちが高揚したのと同時に、「法務として新しい産業創りの当事者になれる機会はまたとないのでは」とSkyDriveでのキャリアに強く惹かれました。初めてのスタートアップへの転職に不安も少しはあったのですが、「自分のキャリアや年齢であれば、万が一失敗しても糧になるはず、どうにかなるさ」と考え、2023年6月にSkyDriveに入社しました。
「よい町医者」のような存在の法務を目指して
− 法務・コンプライアンスグループの主な業務内容を教えてください。
法務領域において、直近は、開発・取引契約に加えて、国内外での子会社設立、M&A、JV、他社との事業提携等の契約対応が主となっています。グローバル展開を目指す当社では、契約全体の4割ほどが英文契約で、この比率は高まりつつあります。アメリカ・ヨーロッパ・アジア・オセアニア等の政府機関や大手・有力企業を相手方とした契約をこれまで取り扱ってきました。「グローバル」というポイントに加えて、急激に進化する事業のため、「質とスピード」の両方を追求する必要があるのが当社法務・コンプライアンスグループの特色です。また、法務・コンプライアンス責任者である私が経営会議にも参加していますので、経営にインパクトの大きいプロジェクトも初期検討段階からキャッチでき、取り組めるのも大きな特徴のひとつ。他部署や社外の取引先と連携して「空飛ぶクルマ」の社会実装の手応えを単なる「参謀」ではなくまさに「当事者」として感じられることこそが、当社法務の魅力だと思います。
また、コンプライアンス領域においては、直近、IPOに向けた社内の規程・仕組みづくりが大きく前進しました。当グループのリーダーが中心となり、倫理行動規範、コンプライアンス関連規程をはじめとしたコンプライアンス体制の構築・強化、社内展開を推進しています。当社が「100年に一度のMobility革命を牽引する企業」として社会から信頼されるには、それにふさわしいガバナンス・コンプライアンス体制と遂行が不可欠です。今後、空飛ぶクルマの商業運航に向けた取り組みや海外のコンプライアンス体制構築・強化などやるべきことは多いですが、大変やりがいと誇りのある仕事です。
− 入社以降、特に印象的だった仕事はありますか?
空飛ぶクルマの基幹システムについての海外大手企業との開発・調達契約は特に思い出深いです。入社翌日、まだ研修を受けているときに、調達部から「週明け一緒に交渉に出てもらえませんか」と声がかかり、急遽私も交渉の現場に立つことに。そこから急いでキャッチアップし英文契約書の交渉、妥結までを約2週間でやりきりました。その間、調達部のメンバーと法務・コンプライアンスのメンバーが一体となって侃々諤々の議論を交わし、相手方とも毎日交渉を重ねて早期の契約妥結が叶いました。入社して間もない段階から、「戦友になれるひとたちと出会えた」と感じましたし、私の法務人生において、これまで手掛けた契約交渉のなかでもトップクラスに面白く痺れる仕事のひとつでしたね。
− グループの体制も簡単に教えてください。
アシスタント含め5名の組織です。加えて、大手・有力法律事務所の外部弁護士数名にも業務委託という形でサポートしてもらっています。また、業務効率向上のためリーガルテックも豊富に活用しています。他部門との契約書ドラフトのやり取りや契約決裁、契約締結管理は契約ライフサイクル管理システム「ContractS」を活用し、契約書簡易チェック、法令調査や契約書サンプル検索は「LegalForce」、「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」や「Practical Law(トムソン・ロイター)」を活用することで円滑に業務を進めています。また、「相手の意向をしっかりと汲み取って仕事を前に進める」という観点でface to faceのコミュニケーションの機会も大切にしており、法務・コンプライアンスグループでは基本的に週2日程度のオフィス出勤をお願いしているのですが、リモートでの業務も組合わせながらフレキシブルに勤務しています。
− グループの運営方針として大切にされていることを教えてください。
私が入社してから法務・コンプライアンス部門のメンバーに徹底している方針が「よい町医者になろう」というもの。我々は、クライアントたる会社(経営陣、他部門、グループ会社を含む)の戦略・方針・事情を熟知した最も身近で頼れる法務・コンプライアンス部門(町医者のような存在)を目指し、基本的には自社内で幅広い法務・コンプライアンス関連業務に対応しています。もちろん、高度専門的な知見が必要な場合は、外部弁護士事務所等(総合病院・大学病院のような存在)を起用しますが、丸投げするのではなく、外部弁護士事務所と連携して最善の策をともに考え、講じていきます。各メンバーには「自分が患者(クライアント)だったらどのようなお医者さん(法務)が信頼できるか、頼れるか」という視点で日々一つ一つの仕事を大切に自分事として考えながら業務対応、改善、研鑽するよう、徹底しています。
− ものづくりグローバルスタートアップであるSkyDrive。当社の法務ならではのやりがいはどういったところに感じますか?
入社理由とも重複しますが、法務として新しい産業づくりに当事者として関われる機会は極めて貴重でとてもエキサイティングです。また、一緒に働く環境やメンバーも魅力的。当社のメンバーは国籍、使用言語、これまでのキャリアや年齢などのバックグラウンドも多種多様で、本当の意味でのダイバーシティな職場環境だと感じています。加えて、当社のメンバーは受け身のひとがとても少ないんです。前向きに「自分にはなにができるか?」を問いながら能動的に行動できるプロフェッショナルでバイタリティに溢れるメンバーとの仕事は非常に刺激的だと感じています。
− 法務・コンプライアンスグループとして、中長期で取り組みたいことについて教えてください。
ESG、レピュテーションリスク、グローバルリスクマネジメントの観点は、今後取り組んでいかなくてはならないと考えています。アメリカやインドなどグローバルなマーケットを目指す当社においては、グローバル基準のコンプライアンス体制を構築することが不可欠です。今後さらに加速する海外展開においては、法務・コンプライアンスグループとしての課題も多いので、全体最適の観点で前向きに一緒に取り組んでくださる方とご一緒したいですね。
候補者の方へ メッセージ
私の好きな言葉に樹木希林さんの「おごらず、他人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」という言葉があります。色々なキャリアの選択肢がありますが、空飛ぶクルマというワクワクする新しい世界を創るというチャレンジングな道も「面白がれる」ものと思います。人生一度きり、SkyDriveが目指す「100年に一度のMobility革命」を一緒に起こしてみませんか?