
近年、日本でも目にする機会が増えた「ドローンショー」。最先端のエンターテイメントとして海外で人気を集めていますが、国内でもドローンショーを目にする機会が増えてきており、今では日本各地で開催されています。
最先端技術を駆使した魔法のような空の舞台は、一体どのように作られているのでしょうか。SkyDriveは、2025年1月11日(土)に愛知県蒲郡市にあるテーマパーク「ラグーナテンボス・ラグナシア」で、冬ならではのイルミネーションとコラボしたドローンショーを開催。今回は、ドローンショーの舞台裏に迫るべく、株式会社ラグーナテンボス(以下、ラグーナ) 企画担当中川 絢也香さま、株式会社SkyDrive ドローン事業部 ドローンショープロデューサーの横越、ディレクターの野村にお話しを伺いました。

(左から:SkyDrive 横越、ラグーナテンボス 中川様、SkyDrive 野村)
ラグーナで初めてのドローンショー!当初は「準備が大変そう」などの不安も
ー ラグーナではどのようなイベントを開催しているのでしょうか?

ラグーナ中川様:ラグーナでは、1年を通してさまざまなイベントを開催しています。夏はプール、冬はイルミネーションなど、季節にあわせたものから、お子様になじみがあるキャラクターとコラボしたイベントをしています。今回コラボしたイルミネーションは、毎年テーマを変えて開催しています。
ー たくさんのイベントがありますね!ズバリ、今年のイルミネーションのテーマは?

ミラーボールを使用したイルミネーション「AquaPlanet」
ラグーナ中川様:今年のイルミネーションのテーマは「光と水のカーニバル」です。深海と宇宙の神秘・美しさをテーマにミラーボールを使用したイルミネーション「AquaPlanet」や日本最大級の全長6mの巨大花手水などが今年の新しいイルミネーションとなります。
イルミネーションは園内に複数ありますが、毎年新しい要素を取り入れたものをメインとして置いています。
特に、東海エリア初となるイルミネーションにできるよう、毎年力を入れていますね。今年のメインのミラーボールのイルミネーションは、東海地区ではあまり実施されていません。これまでLEDのものが多かったのですが、ミラーボールを使うことで暗い中に光の粒が反射する幻想的な世界観が広がり、より大人っぽい雰囲気の演出ができるので、取り入れてみました。
ー ミラーボールは大人っぽい雰囲気ですよね! 今回イルミネーションとコラボしたドローンショーを開催することになった背景をおしえてください。

SkyDrive横越:SkyDriveはこれまで、国立競技場や東京タワーが見える増上寺、京都の清水寺など日本を代表する場所でドローンショーを開催してきましたが、エンタメ性のあるテーマパークでやってみたい!という思いがありました。
ラグーナには東海地区屈指のイルミネーションがあるので、イルミネーションとコラボしたドローンショーを開催すると、ただドローンを見るだけでなく、イルミネーションの光の演出とマッチした体験を届けられそうだと考えていました。光とコラボした演出はSkyDriveにとっても新しいチャレンジでした。

国立競技場、清水寺で開催したドローンショー
ー イルミネーションとコラボしたドローンショー!!もともと中川様は、ドローンショーにどんなイメージを持っていましたか?
ラグーナ中川様:1度だけドローンショーを見たことがあったのでイメージができましたが、ラグーナ園内では検討したことがなかったので、準備が大変そう、精密機器を取り扱う環境が不安、エリアの確保ができるのか・・などいくつか不安なことがありましたが、まずはやってみよう!という気持ちでした。
下見、アニメーション作成、リハーサルなどの事前準備を実施。さらに、海の生物、観覧車やお城などの演出で、コラボ感を醸成
ー たしかにドローンショーは準備が大変なイメージがありますが、具体的にどんな準備が必要なのでしょうか
SkyDrive野村:まずは、お客さまに最高のドローンショーを楽しんでいただくために、どこで飛行させるのがベストかを検討し、海辺と園内の下見を行いました。海辺は広いスペースがあり、より大きなショーができるのですが、ラグナシア園内のお客さまから見ていただくには距離がありました。そのため、飛行エリアは小さくなりますが園内でショーを行う方が、お客さまにより迫力のあるドローンショーを提供できると判断しました。

園内でドローンショーを行うにあたり、ドローンの離着陸エリアの設定が1番の課題でした。ドローンを並べられるエリアを探して園内を周り、事務所の屋上に登って屋上から飛ばせないかというところまで検討もしました。最終的に、最も安全で確実にドローンショーができそうな、事務所裏の駐車場を離着陸エリアに選択しました。
ー お客さまからの距離、ドローンを並べるスペースを見ることが大切なのですね。実際どのくらいのスペースが必要なのでしょうか?
SkyDrive野村:我々が所有している機体は、1ケースに12機体のドローンが入っていて、ケースから出さなくても箱の中からそのまま飛び立つことができます。そのため、ドローンショーの離着陸エリアは従来に比べて約1/3程度のスペースで済みます。園内の限られたスペースで500機体の規模のドローンショーを実施できたことは、弊社の強みです。
スペースに加えて、電波干渉の有無も確認する必要があります。下見では電波環境の計測をしましたが、やはり人が多く集まる施設だけあって、たくさんの電波が飛び交っていることが確認できました。今回はその対策として、普段のドローンショーを行う時に比べて倍のアクセスポイントを設置して通信環境が悪くても確実に飛行が実施できるよう工夫をしました。
園内でドローンショーを行うにあたり、ドローンの離着陸エリアの設定が1番の課題でした。ドローンを並べられるエリアを探して園内を周り、事務所の屋上に登って屋上から飛ばせないかというところまで検討もしました。最終的に、最も安全で確実にドローンショーができそうな、事務所裏の駐車場を離着陸エリアに選択しました。

実際にケースを並べて入るか確認

磁気干渉の計測の様子
ー 下見で確認するポイントがよくわかりました!下見の他に事前にやることはありますか?
SkyDrive野村:下見はSkyDriveの専門知識を持っている社員が行うので、ラグーナ様には園内の案内だけをお願いしました。下見の他には、航空局への飛行許可申請が必要ですが、これもSkyDriveで実施するため、特段施設側でやっていただくことはありません。
弊社には、ドローンの開発、製造を通して培ってきた、航空法に関する知見・ノウハウがあります。航空局への飛行許可申請は、通常1カ月程度必要とされていますが、今回は2週間という短期間で取得できました。ドローンショーの企画段階から航空法の知見を持ったエキスパートが飛行プランを検討、提案できるのでお客さまのニーズを叶える手助けができる点が強みですね。
いよいよドローンショー本番!夜の来園者数が前年同期比約3倍となり、大盛況!
ー 専門知識を持った事業者に任せられるのは、とてもうれしいですね!ところで今回のドローンショーはどんな演出を考えていたのでしょうか?
SkyDrive横越:1日ラグナシアで遊んで、夜にドローンショーを見て「今日ラグナシアに来て良かった!とお客さまに思っていただけることを大切に演出を考えました。ラグナシアでは夜にイルミネーションのショーを行っているので、他のショーとドローンショーを連続で見ても違和感のないような内容にしました。また、イルミネーションとのコラボという点が特徴のため、図柄やカラーリング、見る場所からイルミネーションとドローン両方が見えるか、などイルミネーションとセットで空間を楽しんでもらえるようラグーナテンボスの皆さまと議論を重ねました。
ドローンでつくるモチーフは、観覧車やツリーなど、実際に園内にあるものや、イルミネーションを再現するようなものも取り入れて、ラグナシアならではの提案をしました。

お客さまが見る場所から確認する3人
ー ラグーナとして、今回のドローンショーの演出で入れたい要素はありましたか?
ラグーナ中川様:ラグーナでは、海をテーマとしたイベントを多く行っているので海の要素は入れたいと考えていました。最初に案を見たときに、ペンギンやサメなど海の生物が入っていたのでぴったりだと感じましたね。また、観覧車やお城などラグナシアにあるものを入れた方がオリジナル性が高くなるため、こちらも希望通り入っていて安心しました。
ー PCソフトでアニメーションを作成をしても、実際に同じように飛ぶのか不安です。事前リハーサルは行うのでしょうか?
SkyDrive 野村:今回、1回目にSkyDriveが保有しているテストフィールドで、2回目にラグナシア園内でリハーサルを行いました。
機体のフォーメーションやライティングの色見のチェックを兼ねてのリハーサルは、毎回必ず実施しています。

アニメーション作成の様子
テストフライトをした上で修正するとなった場合に、ある1カットだけを修正するということが難しいため、毎回、事前リハーサルとリハーサル後の修正作業には細心の注意を払っています。
2回目のラグナシア園内でのリハーサルでは、ご覧いただいた方々の意見を参考に、急遽演出内容を変更するなど、直前まで演出にこだわってアニメーションの作りこみを行いました。
ー 本番当日は、ドローンを設置するところからのスタートでしょうか?

SkyDrive野村:ドローンを並べるところからスタートしますが、前述した通り、SkyDriveが使用しているドローンはケースを並べるだけで設置が済むため、設置作業は30分で完了しました。ドローンショーの準備に必要な”占有時間”も”占有場所”も従来の半分以下で済むため、施設側への負担を減らすことができます。


ドローンケースを設置する様子
例えば、ドローンショーを18時から実施する場合、一部の施設の営業時間を短縮するなどの配慮を検討する場合も想定されますが、そうした負担を施設側に求めることなく、通常営業の範囲内でドローンショーの準備をすることができました。

ラグーナ 中川様:当初は準備が大変そうと思っていましたが、SkyDriveの皆さんが手際よく準備をしていたこと、思っていたより狭いスペースにドローンを設置していたので驚きました!
ー 準備が終わり、残すは本番のみ。当日のドローンショーの様子はどうでしたか?
SkyDrive横越:イルミネーションとドローンショーが視野全体に広がった光の光景を楽しんでいただけたのではと思います。動画だと伝わりづらいですが、現地ではドローンが目の前に迫ってくるような迫力感を出すことができました。
特にお客さまから「お~~~!」と歓声があがったのは、ペンギンと”ラグーナテンボス”の文字の演出です。500機でペンギンを演出したので、密度も濃く迫力のあるものになりました。


お客さまに話を聞いたら、「東海地方でドローンショーをやっているところが少ないので見れて良かった。YouTubeより迫力がある」など、かなり好感触でうれしかったですね。
ラグーナ 中川様:ホームページ、SNS、フリーペーパー、テレビなど色々なところで告知ができたので、予想以上に多くの方にご来園いただけたと感じています。結果、昨年の同時期と比較すると、夜の来園者数が前年同期比約3倍という結果になりました。「あ~サメだ~~!」とお子さまが話している様子を見て、世代問わず皆さんに楽しんでいただけたのではと思いました。

ー 満足度の高いドローンショーでしたね!ラグーナでは今後はどのようなことに挑戦していきたいですか?
ラグーナ 中川様:ラグーナでは、お客さまに足を運んでいただく理由になるよう、常に新しいものを取り入れていきたいと思います。オンラインや映像だけでは楽しめない動機付けが必要なので、現地でドローンショーを見ていただいたことで、お客さまには臨場感や迫力を感じていただけたと思います。ラグーナならではのコラボができたので、今度はドローンショーとナイトプールやキャラクターのコラボなどを模索していきたいです。